ゴーシェ病

 ゴーシェ病

(ライソゾーム病・先天性代謝異常症・常染色体劣性遺伝)

国内では100人に満たない希少な病気

 

原因★先天性代謝異常症。生まれつき遺伝子の異常によって、グルコセレブロシターゼという酵素活性が低下するため、糖脂質(グルコセレブロシド)を分解・代謝することができず、肝臓・膵臓・骨などにグルコセレブロシドが蓄積して、これが原因で臓器や骨に様々な症状が現れる。

 

症状★主に肝臓・膵臓が大きく腫れ、貧血、血小板減少症や骨の症状(骨痛、骨折傾向、骨粗鬆症、骨壊死など)が現れる。また、2、3型ではこれらの症状の他に神経症状(斜視、開口障害、けいれんなど)を伴う。

 

タイプ★

Ⅰ型(成人型)神経症状がなく、発症年齢が幼児から成人にわたり慢性に経過する。

       主症状は貧血、血小板減少、肝脾腫および骨症状

 

Ⅱ型(乳児型)乳児期に発症し、急速に進行する。

       肝脾腫、肺病変以外にけいれん、後弓反張など著名な神経症状を伴う

 

Ⅲ型(若年型)乳幼児期に徐々に発症し、神経症状を伴うがⅡ型に比べて緩徐な経過

       神経症状は異常眼球運動、小脳失調、けいれんと多様にある。

 

        

遺伝★

 ゴーシェ病は常染色体劣性遺伝という遺伝形式をとって遺伝する。

 子供は親からそれぞれ23本ずつの染色体を受け継ぎ、計46本(23組)の染色体を持って

 いる。そのうち、ゴーシェ病の遺伝子は第1番染色体に存在している。

 ゴーシェ病の両親は保因者であり、2組ある第1番染色体の片方にゴーシェ病の遺伝子を持って

 いる。保因者はゴーシェ病に発症することはなく、両方の染色体にゴーシェ病の遺伝子を持たな

 ければ発症しない。

 つまり保因者である両親からは1/4の確立でゴーシェ病の子供が生まれ、1/2の確立で

 保因者の子供が生まれる。また、ゴーシェ病の人と正常な遺伝子を持った人の間の子供は全員が保因者になるが、

 ゴーシェ病の子供は生まれない。

 

 

治療法★

  • 酵素補充療法

    欠損している酵素を体外から点滴で補充し、蓄積している糖脂質(グルコセレブロシド)を分解・代謝する治療法

  • 臓器摘出・切除法
  • 骨髄移植
  • 遺伝子治療(研究中)
  • 気質合成抑制療法
  • ケミカル・シャペロン

 分解されずに細胞に蓄積している基質の構造に近い低分子化合物は、試験管内で酵素の

 阻害剤として働く。ところが細胞内では、この分子は変異酵素を安定化し、変異酵素を

 ライソゾームに輸送する機能を持つ。そして、活性が失われたと思われた酵素たんぱく質が

 ライソゾームで再び息を吹き返す、これをシャペロン効果と呼んでいる。

 ライソゾーム病では骨髄移植や酵素補充療法が臨牀応用されている。しかし、中枢神経障害

 に対する効果はほとんどなく、新たな治療法の開発が望まれている。シャペロン療法は、

 低分子物質を用い中枢神経障害を治療できる可能性のある治療法。